15.描き方のレッスン法
私たち素人のレベルで、男女の顔を描き分けるには、次の点に差をつけることが多いですな。
1.まつげ(女性の方が長い)
2.唇(口紅を塗っている感じ)
3.髪型(女性をロングヘアにする)
いわばベースとなる顔は男性なのですが、描き足すことで女性にしているといった具合でしょうか。
当方が考える男女の描き分けは、直線を用いると『男性』。
曲線で『女性』となります。
特に横顔では、おでこを突き出すか出さないかで、そのシルエットは変わります。
でも一番は、「男性(または女性)を描くぞ!」と自覚して線を引いていくと、男性(または女性)特有の輪郭やパーツとなって仕上がっていくから不思議ですね。
前に一度、ホワイトボードに人物を描く時、男性にしようとペンを走らせたのですが、途中で女性がいいかもと描き変えました。
できあがった絵を見ると、かなり凛々しい女性になりましたね。
もひとつ前回の続き。
講義中はもうちょい描き加えて、こんな風に仕上げます。
ほとんど四角や円のレベルではありませんが、基本は図形のつながりから組み立てられています。
未来であるほど、実態がボンヤリしているように描き変えればよいですね。
前回の続き。
四角と円を描く時のルールを決めたら、それをさらに応用していきます。
たとえば、時間軸は左から右へと流れるので、そこへ図形の変化を当てはめるのです。
現在は四角ですが、近い未来を四角の角をアールにしちゃいます。
さらに次の段階を長円形とし、最終点を雲形にすればなんとなく成長路線として描けます。
成長とは時間経過によるレベルアップなので、縦方向にレベルの上下を設けると、その図解はまんまと意味ありげになってくれますね。
すると説明相手に、「なるほどねぇ~」と唸ってもらえるのです。
絵を描くということは、一種の度胸だといえます。
それは恥ずかしがらず、迷わずにサッと描く思い切りです。
すると「絵が上手いんとちゃうか?」と、自他共に思えていくのです。
たとえば何かの関係性を描く場合に、そこで用いる図形を四角にしようか円にしようかと迷っていてはいけません。
もう決めておくのです。
互いに比較して、具体的であれば四角。
抽象的であれば円。
現在なら四角で、将来だったら円。
自分たちが四角で、特定できない相手には円。
……という具合です。
こうした理屈を考えておけば、誰にでも説明できます。
さらに、確固とした法則性で絵を描いていけば、迷わずに形を見出し、表現できます。
そして上手くなったように思えるのです。
こうした自覚が、次に描こうとする意思を生みだします。
前回の続き……
つべこべ言わずに描き始めると、それらの線は有機的なつながりを持ち始め、なんだか意味のある空間をこしらえてくれます。
たまに「おお、ええ感じやん!」と、自画自賛する絵が仕上がったりもします。
そして、後の一服する時間にでも、自らのノートへ出来上がった絵を再度描くのです。
今度は完成のイメージがわかっているので、バランスやウエイトに気遣いながら描けます。
すると、さらなる磨きのかかった絵になってくるのですな。
そうなれば、また自分のライブラリーが増えるって訳です。
講師として口頭で説明した後、聴き手の様子から「まだ、わかっとらんな」と感じることがあります。
そんなときはマーカーを手に取りホワイトボードへ向かって、「いわゆる、こういうことです……」と声を高めます。
そしてとりあえず、ホワイトボードの中央に"円"を描くのです。
そう、これでいいのです。
あとは口にするキーワードを円の内や外へ描き足せば、なんとなくそれらしい概念図に仕上がります。
聴いている方も、ホワイトボードに描かれる情報を重要だと信じて、眼と耳を傾けてくれるので、「ほほう~」と効果的に伝わるのです。
そして仕上がってから、「なかなか上手いこと描けたやん」と悦に入るのでした。
そうやって、まずは考える前に描くこと。
描きながら絵や図解は達者になっていくのです!
では地球をサッと描いてみましょう。
まず、『Q』を書く要領で一筆書き。
↓
↓
↓
次に左側へ、二つの山をクイックイッと線を入れます。
↓
↓
↓
同様に、右側にも二つの山をクィックィッと筆を走らせます。
↓
↓
↓
そして左側のラインに沿うように、三角形とそのまわりに小さな3つの円を配置します。
これが日本です。
そうして地球のできあがり!
……ということは、下の円囲みがオーストラリア大陸。
左がユーラシア大陸とアフリカ大陸で、右がアメリカ大陸ってな感じです。
なんか顔にも見えますが、日本を中心とした地球だと思い込みましょう!
描く対象を観察するか、記憶に頼るか。それによって、描くメカニズムが異なります。
観察して描く場合は、初めての試みとなるので、全体のバランスを感じ取ろうとします。
逆にディテールから描き出すと、最終形が想定よりも大きくなったりします。
複雑な漢字を初めて書く場合に、いびつな形状になってしまうような例と同じですね。
したがって、観察は全体像から引き算して描くのが具合よいです。
なんども再現できる記憶にある画像を描く場合は、その絵を決定づけるポイントから描き始めます。
それはある程度、各パーツの大きさから最終形のボリュームが感じ取れるからでしょう。
やはり「絵が上手い」と褒められるものは、この足し算による描き順で仕上げることが多いといえますね。
企業研修にもかかわらず、講義中に受講者の似顔絵を描くことがあります。
なぜそんなことができるのかというと、某研修テーマの中で受講者の笑顔を用いてビジョンメイキングを説明するからです。
とあるくだりに差し掛かると、ターゲットを決めてその顔をホワイトボードへサッと描きます。
もう50名くらいは描いたと思われます。
そこで最近、普段顔を描く時と異なるアプローチだった事実を知りました。
それは、その筆運びです。
なんと顔の輪郭から描いていくのです。
それはなぜか……
ターゲットの顔を似せようとすれば、どうしても観察しなければなりません。
観察するには、まずその大まかな形をつかみ、徐々に細かな方へと目を向けていきます。
したがって、描く手順もそれに連動していくのです。
その反対に普段から描き慣れていて、なにも見ることなく表現できる場合には、中心から順に周りへと描き拡げていきますからね。
横書き文字が基本となる文書は、読者の視点が左から右と移ります。
当然、そこに描かれるイラスト等も、そうした視点移動を考慮しなければなりません。
上の図は、『吹き出し→視点→想い』という順になっています。
したがって、「まず発言してから、対象物を見て、それに疑問を感じる」という具合にその一枚の絵に時間的なズレが発生するのです。
下の図は、『視点→想い→吹き出し』と並んでいるので、「対象物を目にして思った疑問を、言葉にしている」という具合になりますね。
こんな風に定義しておくと、絵を描く時の構図が組み立てやすいです。
昨年に続き、箱根駅伝10区を沿道で応援しました。
大森あたりで陣取ったためか、応援する人の壁は薄かったです。
目の前を通過するランナーを見ながら、その躍動を目に焼き付けました。
それを絵にすると、こんな具合です。
ランナーのスピードや息づかいを表すには、目に見えない空気の動きを線描する必要があります。
その際の留意点として、ある一定時間内での各部位の動きに差異を見出し、シンプルなラインで表せればよいのです。
まるで自分の両眼がカメラのシャッターのように、時間を切り取るイメージですね。
大脳生理学的に解釈すると、文字を書く時は直列処理の得意な左脳が活性します。
反対に絵に関しては、顔のパーツを描きながら全体バランスを調整するなど、並列的な処理を優先させる右脳が活動するのです。
実はペンの持ち方がその目的によって、脳の動きと連動しているとされています。
たとえば、親指のつけ根にペン軸を寝かせると左脳側が働きやすくなります。
したがって、文章を書く時には効果的です。
絵を描く時は、ペン軸を立てて指先の動きをスムーズにします。
すると、全体像を見渡せる右脳側が働き出し、自らが描く絵のバランスを整えることができるでしょう。
そう、書道における筆の持ち方です。
一度、お試しあれ!
躊躇しつつも彼の描いた"手"がこれです。
描くとは部分の精度ではなく、全体のバランスとウェイトなんだと再認識させられました。
自分の顔をそれなりに描けるようになれば、心の機微まで表現してみましょう。
そのためには『喜怒哀楽』を描き分けて、表情に変化を付け加えることが必要です。
……ではどうすれば、よいのでしょうか?
それは「眉毛・眼」と「口」の描き方にあります。
そこに気分を想定して描くと、表情が活きてきます。
『喜』
自分を褒めてあげる気分。
口を大きく開き、眉毛を曲線、眼尻を下げると、笑顔が映えます。
『怒』
自らの不出来に「喝!」を入れる気分。
眉間にシワを寄せ、眼をつり上げ、口を"への字"に大きく曲げると、怒り出します。
『哀』
やや力不足だったことを悔いる気分。
口はやや"への字"にし、眉毛は下げ気味、眼尻は上がり気味にします。
『楽』
なんとか無事に済み、ホッとした気分。
口角は上がり、眉毛と眼尻は下がる傾向になります。
このように、自分のご機嫌をレベル表示して描けると、仕事結果の感情的側面を記録できますよ。
自分の顔を描く機会って、与えられるものではありません。
自らが描こうと思わなければ、――それもその必然を作り出さないといけませんね。
でも、実際に描けるようになるといろんな活用が考えられます。
特に自分をしっかりと励まし、勇気づけてくれる効果があります。
では自分の顔を描く場には、どうすればよいでしょうか?
顔の輪郭と両眼・眉毛の位置関係が重要になります。
顔の輪郭は、丸形か四角型か。
縦長か横長か。
そして髪型ですね。髪の毛は一本一本描くのではなく、ザクッとそのかたまりを捉えた方がよいでしょう。
次に眼と眉毛。
眼の大きさ。太さ。あまり白目と黒目にこだわる必要はありません。
眉毛の場合は、その長さと薄さですね。
眼も眉毛もおおよその形を取って、塗りつぶせばOKです。
そして二つの眼と眉毛を顔の領域内で、上の方に置くか、下にするか。くっつけるか離すか。
メガネをかけてられる場合は、それ自体が特徴になるので、顔との配置によって似てくる度合いが高まります。
まず一度、自分の顔を恥ずかしがらずに描いてみましょう。
描き直すたびに、似てくるはずですよ。
自分の顔がつかめたところで、とびきりの笑顔に仕上げてみましょう。
笑顔を表すための大事な要素が、口の描き方です。
これはオーバーなくらい大きく口角を上げて、描いてみたらいいですね。
すると、幸せそうな自分が表現されますよ!
手書きの地図を手渡されて、「ここだよ」と説明されることって、たまにあります。
そのときパッと見て、「あぁ、わかりやすい」と思うか、「これってどういくの?」ってその場で聴くか――割と二分されますね。
おそらくそれは地図の描き方に違いがあるからでしょう。
……では何に違いがあるのでしょうか?
それは線で書かれているか、面で描かれているかの違いだといえます。
道幅の較差を描くだけで、道を選択する判断情報として相手に伝わります。
駅のロータリーや広場の大きさを表すだけで、駅前の状況がイメージできます。
アイキャッチとなる建物や目印があれば、道に迷う不安が薄れ、逆にそこを通過する楽しみまで感じたりします。
さらに、横断歩道を描くと自然とそれに誘導され、道順を示されているような効果となるでしょう。
……ということは、地図って相手のために描くものなのですね。
【描くonBIZ】ワークショップの中で、"文字を形で描く"というトレーニングをしました。
たとえば『ま』というひらがな一字は、線でサッと書けてしまいますが、その字の輪郭をかたどって『ま』を表現するのは、意外と難しいものです。
ワークショップではまず、描くための脳のストレッチとして、全員に『まねよ』という文字を形で描いてもらいました。
そこで意外だったのは、右脳派の代表と称される男性がえらく手こずっていたのです。
参考となる文字をみながらでも、形を描くアプローチに苦慮されていました。
その反対に女性陣は皆がスラスラと描けています。
子供の頃からお絵描きして遊んでいた経験が、形を描く行為に脳が順応しやすいのかもしれません。
……ということは、『描く』という行為は「才能ではなくスキルなんだ」、と実感した次第です。
チョイ時間があれば、何かを描こうとしています。習慣として、ようやく定着してきた感がありますね。
そのためのA6サイズのメモと消せるボールペンは、なくてはならないアイテムになってます。
描き始めは、まったくアタリをつけずに直接紙面にペンを運びます。消せるボールペンなので、多少狂っても安心です。先週あたりからは、ペン先を0.4㎜から0.5㎜へとサイズアップしました。
描く際は、背筋を伸ばして身体を起こし、メモの紙面を他人にみられないように気をつけます。
絵を描いている行為がばれると、見つけた人は必ず二度見しますからね。
初級レベルの次なる目標は、【動作】、【人物】、【立体】です。
まずは【動作】。
マンガ的表現では、1コマの絵にわずかな時間の流れを描くことができます。
そして身体の動きは、心理的な意味合いまで感じさせてくれます。
もうこれは、使わない手はありません。
この記事のイラストでは、手の動きを描いていますが、こうした繰り返しの動作にも役立ちますね。
次に【人物】。
人物とは、他人の描き分けです。登場人物が多いほど、展開のバリエーションが拡がります。
さらに仲間の特徴を絵にできれば、誰と打ち合わせしたかなども、直感的に記録することができるのです。
人物描写の差別化は、メガネの有無。顔の輪郭。眉毛や眼などの顔パーツの特徴。そしてそれらの配置で決まります。
そして【立体】。
これはコマに割った連続的な動きや、視覚的な強調。相手と自分との距離感など、絵に奥行きを生み出します。
プレゼンテーションなどの他者の眼を引きつける成果物には、大いに役立つといえます。
そう、ここまで描けると、怖いモノなしでしょう。
いかがでしたか? 『描くチカラ』。
このスキルは、きっとビジネスに役立つと信じています。
『描くチカラ』を実践できる人が増えると、いろんな活用の仕方が生まれてくるでしょう。
さてこの秋、『描くチカラ』について勉強会を開催することにしました。
毎月1回、少人数(10名程度)で楽しく始めようと思っています。
詳細については、有限会社ビズマインドのサイトか、本ブログでお知らせします。
興味あれば、ご一報を!
吹き出しの中に入れる"文字"は簡単です。
その場で発するセリフを書き込めばよいのです。
しかし文字表現には限界があるので、バリエーションを盛り込んでいく方法があります。例えば、わかりやすく心理を表すモノとして、"符号"を用いることが効果的です。
また、"文字"の配置を、吹き出し内に収まらせるだけでなく、顔のそばに小さく記すだけで、内面的な情報まで伝えられるようになります。
……ということで、【言葉】を描くとは、セリフそのものだけでなく、言葉以外の情報を伝えることにも役立てます。いわゆるノンバーバル(非言語コミュニケーション)までも可能とした表現術なのです。
では明日、この『描くチカラ』講座の基本である【顔】と【手】、【言葉】を用いた例をお届けいたします。
【言葉】って、吹き出しを描くことから始めます。
その吹き出しにはいろんな形状があり、それらを発言者の意図と絡めて結びつければ効果的です。
正解がある訳ではありませんが、言わんとしていることを吹き出しのカタチに当てはめて伝える要領です。
細かくいえば、顔のどちらに吹き出しを配置するかで、声の方向性が表せます。
たとえば、画面の右側遠くにいる人物へ大声をかける場合は、線状の放射を顔の右上に描いて、相手の立ち位置を感じさます。
このように、意外と奥の深い表現を吹き出しは担ってくれるのです。
さて、吹き出しの次は、その中に【言葉】そのものを置かなければなりません。
明日は、【言葉】を完成させる"文字"のバリエーションをお伝えします!
複雑な動きをする指。
それが5本も備わる【手】は描くのに一苦労します。
普段からよく見る対象だけに、直感的なデッサンの狂いが誰からもわかってしまうのです。
だから、難しい指は極力描きません。
指が見えにくい【手】の甲側を描くのです。
甲がしっかり描けると、そこに親指を立たせたり、人差し指を取り付けたりして、【手】に表情を与えていきます。
そのシルエットがそれらしくまとまってきたら、手の平側に挑戦できますけど、そうした野心は捨てましょう。
描きやすい甲だけで、問題なく「描くチカラ」が発揮されていますから……。
では明日、第3の要素【言葉】をお届けします!
丸と線で描ける【顔】は、誰の目にも止まる重要なパーツです。
だから難しく感じる反面、描いちゃうと俄然楽しくさせてくれる対象といえるでしょう。
とにかく丸を描くのですが、ただ単に丸を描いているとは思わずに、顔の輪郭を表していると心に言い聞かせてペンを進めてください。タマゴ型になれば上々です。四角い輪郭でも問題ないです。
左右対称の丸が描けなくても大丈夫。後から描く目や口がカバーしてくれますから……。
目と眉毛を描いた丸の中に配置してください。
左右の大きさに違いが出ないよう気をつけるだけです。
多少、素っ頓狂な場所に描いても大丈夫。その方が個性的です。
目の下には、【顔】の表情を決めるパーツ……。そう、口を描き入れます。
口は口角がポイント。口角の位置で、表情がものの見事に変わりますよ。
一度、やってみてください!
意思を表す【顔】の次には、行為を示す【手】となります。
では明日、その【手】を描いてみましょう!
『描けないモノは描かない』といっても、描く必要のあるモノを描かずにはいられません。
それが、【顔】と【手】、そして【言葉】なのです。
この3点セットで、割と多くの範囲をカバーしてくれます。
上の絵のようなシンプルなパーツも、その適切な組み合わせや効果的な活用によって、しっかりと語り出してきます。
命が吹き込まれる感じなのです。
誰かに見せる絵を描こうと肩肘張らずに、まずは自分のためにこれらのパーツを使えるようになるだけで、自己対話のバリエーションは格段に拡がります。
では、明日は絵の肝となる【顔】から始めてみましょう!
なぜ絵を描くことが難しく感じられるかというと、『描けないモノを描こうとする』からです。
実は描かなくてもカタチって感じ取れるのです。
たとえば、描くのが困難な肩から腕の具合を省いて顔と手を配置するだけで、描いていない部位を想像させることができます。
この絵のように、顔と手によって伝えたい事柄を充分に表現してくれますから、それ以外は描かなくてもいいのです。いわば、アニメのセル画みたいに動くところだけを描き、静止部分は消してしまう要領です。
描くのが難しい割には、それほど重要なことを伝えているわけではないので、そこを省いて「その場で、素早く、楽しんで……」を実践していくのが大事なんですね。
そんな割り切りの精神を元に、『描くチカラ』の基本3要素を明日から紹介します!